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月別アーカイブ: 4月 2014
アトミック・ボックス
「アトミック・ボックス」池澤夏樹(毎日新聞社)
原子爆弾製造計画を扱った社会派推理小説の一つであるが、重苦しくなく、ある意味で爽やかである。
美汐は父の臨終に際してあるCDを託される。この中には遺書のほかに、あるデータが入っていた。父が漁師をする前に東京で働いていた時のデータである。このデータは、密かに日本が原爆開発に関係した証拠であったのだ。父は東京を離れたときから30年に及ぶ監視がついていた。父の死後、このCDの存在を知った警視庁公安部は奪回を企てる。公安部と美汐の戦いが始まった。鍵を握る人物は東京にいる。瀬戸内海から東京までの逃避行が始まる。そして最後は・・・。
広島での胎内被曝ゃ福島原発事故を織り交ぜながら、原子力とどう向き合うのか、という問題提起なのだが肩ひじ張らずに、サスペンスとして読むことができる。逃げる美汐や追う公安も権力に翻弄される人々であり、この小説はここにスポットを当てているので、爽やかに仕上がったのだと思われる。一読をお勧めする。
2014/04/26 プロミネンス&黒点群
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2014/04/24 プロミネンス&黒点群
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2014/04/23 プロミネンス&黒点群
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約束の海
「約束の海」山崎豊子(新潮社)
平成25年9月29 日に他界した山崎豊子の遺作である。彼女の構想によると、この物語は3部構成になる予定であった。そのうちの1部だけが小説になっており、残念ながら2・3部は未完のままに終わった。
第1部は、1988年(昭和63)7月23日に海上自衛隊潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」が衝突し、遊漁船が沈没した海難事故をベースにしている。日時、船名は変えているがノンフィクションと言ってもいいのではないか。
この艦に士官として乗船していた花巻朔太郎は、この海難事故を通して平和時における自衛隊のあり方、戦争と平和を問うことになる。本書はこの海難事故の真相を考察するというものではなく、平和時における国防の在り方を考えることが主眼である。
残念ながら1部はこれで終わってしまうが、本書では著者の2・3部の構想も収録されている。この小説が大きなスケールを持つようになるのは多分ここからである。もう一つの話が用意されていて、それは日米開戦後に最初の捕虜となった酒巻和男海軍少尉の話である。この実在の人物を花巻朔太郎の父と設定し、父の人生を追うことでテーマを深めていく予定だったのだ。約束の海とは父との三机の海(九軍神の慰霊碑がある)でかわす不戦の誓いのことだと思われる。
最終の3部では、海難事故にかかわった人々のその後と艦長花巻朔太郎が描かれる予定であったという。最後まで是非読んでみたい小説であった。本当に残念であった。心よりご冥福をお祈りいたします。
私の好きな社会派山崎豊子の作品をまとめてみました。さらに本書で登場するヨハンシュトラウスのワルツをお聞きください。
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2014/04/20 プロミネンス&黒点群
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2014/04/19 プロミネンス&黒点群
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2014/04/18 プロミネンス&黒点群
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2014/04/16 プロミネンス&黒点群
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