泣き童子

「泣き童子」宮部みゆき(文藝春秋)

warashi「おそろし」(角川書店)、「あんじゅう」(中央公論新社)に続く三島屋変調百物語の三冊目です。連作短編形式で話が進んでいきます。ですから、主人公も周りの人々も一話ごとに成長していきます。
「おそろし」は五話、「あんじゅう」は四話、今回の「泣き童子」は六足す四話ですから、まだ十九話しか話が進んでません。「千一夜物語」(アラビアンナイト)の千一話とまではいかなくとも頑張って百話にして欲しいものです。
さて、シリーズも三冊目になると主人公のおちかも三島屋の人々も生き生きと動いています。さすがに宮部みゆきです、安心して読むことができます。宮部みゆきは現代ものならば超能力、時代物ならば怪異ものの話が多いです。時として度を過ごす場合がありますが、時代物の場合はあまり気にはなりません。簡単なあらすじは次の通りです。 続きを読む

桂枝雀

4月19日は桂枝雀師匠の命日でした。katura1999年に惜しまれつつ60歳で亡くなりました。関西方面に就職したときに枝雀師匠を初めて知りました。落語は嫌いなほうではありませんでしたが、江戸落語と全く違うスタイルに驚き、やがて虜になりました。「桂枝雀アワー」というサンテレビの番組は毎回欠かさず見ていました。当時、残念ながらビデオという録画装置がなく、ただ見るだけでしたが元気をもらいました。あれから30年以上が経ち、インターネットにYou Tube、当時の枝雀アワーがアップされているではありませんか。本当に便利な時代になりました。 続きを読む

百年法

「百年法」<全二冊>山田宗樹(角川書店)

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生存制限法(通称:百年法)「不老化処置を受けた国民は、処置後百年を以て、生存権をはじめとする基本的人権は、これを全て放棄しなければならない。」この話は未来版、姥捨て山物語である。
前世紀の戦争(1945)で敗北した日本共和国は、朝鮮半島での不穏な動きに対し、日本共和国での労働力確保の観点から、アメリカ政府の要請に応じて不老化処置をスタートさせ、百年法を制定した。
2048年、不老化処置を施した国民は、老いることなく、事故や病死以外で死ぬことはなくなった。しかし、この法律は100年後、施行直前になって国民投票により凍結する。内務官僚としてこの法の施行を準備してきた遊佐は新時代党党首、牛島の元へ走る。社会不安に乗じた総選挙で牛島は大統領、遊佐は首相に就任する。5年後に凍結が解除され、矢継ぎ早の憲法改正で巨大な権限を持った大統領の独裁政治が始まった。
2076年、日本共和国は経済的・倫理的に停滞していた。牛島独裁政権は、その改革期には、ある程度力を発揮したが数十年たつと質が低下し淀み始めていた。外には百年法拒否グループのコロニー、政権内部では権力闘争を抱え、運命の2098年を迎える。
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謹賀新年

あけましておめでとうございます

sijaku挨拶が遅れましたが、まさに年が明けた深夜2時過ぎにトイレに走って以来、今日、4日になってもまだ走っています。ウィルス性腸炎ということです。厳重に自宅内隔離され、散々な正月です。このように臥せっていると慰めになるのは、落語(桂枝雀)と音楽です。桂枝雀は私が関西で7年間暮らしていた時に知った落語家ですが、このとき既に爆笑王の異名をとっていました。北海道に来てから、何と滝川市で2回、公演を聞く機会がありとても感激したものです。このとき北海道で桂枝雀はまだマイナーでした、100人にも満たないようなホテルの小ホールで、まさに唾がかかるような位置で聞いたことを思い出します。今日は、私が好きな演目「親子酒」をご覧ください。 
あっ! ちょっと失礼・・・
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